婚活の記録 part5
いよいよ両親への挨拶の準備をすることとなる。
実家に連絡すると、当初は良い条件の人だと言っていたのだが、プロフィールを送った瞬間に豹変する。
「専門学校卒の人なんて家族として認めたくない」
両親は鬼のように反対し、脅しをかけてきた。何度も話し合ったが、会話にすらならない。
学歴と人間性は関係ない。せめて一目あってくれるだけでもいいと懇願したが、頑なに拒否され続けた。
...結論から言うと、僕はその反対に折れてしまい、結婚を諦めてしまった。
長男である自分は、家を捨てた場合、他の姉妹にその尻拭いをさせるのか。家業はどうする。様々な思いが頭を駆け巡った。それが、判断を狂わせてしまったのか。
別れ話の、彼女の泣き声が今でも耳の奥に残っている。
僕は約束を守れなかった。きっと幸せにすると話しておきながらこの有様だ。
それでも彼女は最後まで僕のことを案じてくれた。自分がいなくなったあとも、僕を愛してくれる人が現れてくれること、悪い人に騙されず幸せになってくれることを最後まで祈っていた。僕は...何も声をかけられなかった。何の資格もなかったのだ。
そしてその有様を、僕はずっと遠くで見ていた。すべてが膜を一枚隔てたような、現実味のない感覚だった。